褐斑病の症状でお困りの方必見! 原因・予防・対策のポイント

褐斑病(かっぱんびょう)は、さまざまな植物に発症する病気です。最初に、茶褐色や黒褐色の斑点(はんてん)が表れたかと思うと、みるみるうちに広がり植物を枯らせてしまいます。褐斑病は発症しないのが一番ですが早期のうちなら治療することができるのです。

褐斑病の症状・原因・予防方法・発症したときの対策などをご紹介しましょう。

  1. 褐斑病の症状
  2. 褐斑病の原因
  3. 褐斑病の対策・予防策

1.褐斑病の症状

ガーデニングや園芸をやっている方なら「褐斑病(かっぱんびょう)」という名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。褐斑病は、樹木や草花、野菜などさまざまな種類に発生する病気です。カビの仲間である菌によって引き起こされる病気で、植物によって病原菌の種類も異なります。褐斑病になるとどのような症状が現れるのでしょうか。

1-1.葉に斑点(はんてん)が表れる

褐斑病は名前のとおり、最初は褐色(かっしょく)の小さな斑点が緑の葉の上に表れる病気です。そして、徐々に円形や多角形状となって拡大します。「輪紋(りんもん)」と呼ばれる黒い輪っかのような柄が生じたり、多数の黒い粒状のものが発生したりすることもあるのです。

1-2.葉が黄色く変色する

斑点の形や大きさは植物によっても異なります。けれども、斑点になった部分の周辺から徐々に黄色く変色して全体が枯れたり落葉したりするのです。

1-3.生育が悪くなる

褐斑病が発生すると、葉っぱが黄色く変色して枯れるので植物の生育が悪くなります。また、果物の場合は品質や収穫量も落ちてしまうのです。さらに、庭木や草花の場合は、見た目が悪くなり鑑賞価値も下がってしまいます。

そして、褐斑病になった植物を治療せずに放置していると株全体に病気が広がってしまうのです。褐斑病のカビの胞子が風や雨で運ばれ、畑の場合などはほかの作物にも病気が伝染してしまうこともあります。

そのために、褐斑病が1度でも発生してしまうと、原因となる菌を排除しない限り何度でも発症を繰り返すのです。

褐斑病は、いろいろな植物に現れる病気なんですね。
はい。文字通り葉に褐色の斑点が現れます。

2.褐斑病の原因

2-1.褐斑病が発生する時期

褐斑病の原因は、細菌やウイルスが原因の場合もありますがほとんどがカビ(糸状菌)によるものです。

カビは「温度」と「湿度」があると発生します。褐斑病は、比較的気温が高くて雨が続き、湿度もあがる梅雨シーズンに発生することが多いようです。

2-2.褐斑病発生の特徴

褐斑病の原因であるカビ(糸状菌)は、胞子が風や雨で運ばれることによりほかの植物にも伝染します。ただし、付着しただけでは褐斑病は発生しません。雨で植物がぬれて水分を含むことにより胞子が活動をし始めて発病するのです。

褐斑病が発生すると、葉は枯れて地面に落ちてしまいます。けれども、落ち葉になったからといってカビが死に絶えることはありません。枯れ葉を処分せずに放置していると、そのままカビは生き続けるのです。

褐斑病の原因はカビなんですね。
はい。平均気温が20度以上で、湿度が多い時期に発症しやすくなります。

3.褐斑病の対策・予防策

3-1.褐斑病の予防策は?

褐斑病は発生したときに対策をおこたると植物や作物に被害が広がってしまいます。できるだけ、予防をして発症を防ぐことが大切です。褐斑病の予防策をご紹介しましょう。

  • 高温多湿は、褐斑病の原因になるカビ(糸状菌)の温床になるため、できるだけ排水をよくする。
  • 水やりは過剰にならないように注意する。植物や野菜に合った量を調べて適切な水分量を保つ。
  • プランター栽培の場合は、底石を入れて排水をよくする。
  • 水やりをするときには葉にかからないようにする。泥がはねないように根元から静かにあげる。
  • 株の下葉が混み合ってきたら、摘葉(てきよう)を行い風通しをよくする。
  • 雨上がりや早朝など、植物に露(つゆ)が付いているときには収穫や摘葉(てきよう)はしない。
  • 収穫に使用するハサミやナイフなどの道具は、使用するたびに消毒する。
  • 植物や野菜の栽培地周辺の雑草はこまめに除去する。
  • 植物を植えるときには、生育に応じて間引きや剪定(せんてい)を行い、風通しがよくなるようにする。
  • 鉢植えは雨にぬれないように屋根のある場所に置く。

3-2.褐斑病になった場合の対策

庭木の場合は、病気になった部分の葉や枝を切り落とします。切り落とした葉や枝、下に落ちている葉などには褐斑病の病原菌が残っているので残さず集めて処分してください。草花の場合は発病している葉を見つけたら、早めに除去しましょう。そして、病気が発生しやすくなる梅雨時期には植物に合った薬剤を使うことも有効な対策です。

3-3.薬剤(農薬)を使う

褐斑病はさまざまな植物や野菜などがかかる病気です。排水のよい環境を整え発病した葉は除去して、発病初期段階で薬剤(農薬)を散布する必要があります。代表的な薬剤をご紹介しましょう。

3-3-1.きゅうりなどウリ科の植物

施設栽培では4〜6月、9〜11月に発生しやすく、露地栽培では収穫前から発生し急速に広がります。

適した薬剤は…

オーソサイド80・ゲッター・ジマンダイセン・スミブレンド・セイビアー20・ダニコール1000・ファンベル・フルピカ・ベフドー ・ベルクートなど。

3-3-2.バラ

美しい花が咲くバラも褐斑病になりやすい植物です。バラの場合は、ギザギザになっている葉っぱの周囲から茶褐色になってきます。日頃から注意深く観察することが大切でしょう。バラに適した薬剤は、ダニコール1000です。規定の倍率に薄めた薬液を株元にそそいでください。

3-3-3.りんご

りんごが褐斑病になると葉に斑点ができるだけではなく、果実にまで斑点が発症してしまいます。りんごに使用される薬剤は、ボルドー液、ベンゾイミダゾール形薬剤などです。また、有機銅剤、有機銅・キャプタン剤、イミノクタジン酢酸塩剤、キャプタン剤なども有効でしょう。いずれも、7〜8月に散布するのが一般的です。

3-3-4.その他

さまざまな植物、野菜、花などに使用できる薬剤には以下のような種類があります。いずれも購入するときには、散布する植物や農作物に合った薬剤かを確認してください。

  • STダニコール1000(フロアブル剤)…広範囲の病気に使用できる。
  • オーソサイド水和剤(水和剤)…芝生や種子、球根の消毒に。
  • サンボルドー(水和剤)…野菜やかんきつ系の果物に。
  • トップジンMスプレー(スプレー剤)…花の病気に手軽に使える。
  • トップジンMゾル(フロアブル剤)…花と野菜の病気に。
  • モスピラン・トップジンMスプレー…野菜(トマト・きゅうり)と花に。
  • GFベンレート水和剤(水和剤)…予防と治療の両方に使える。
  • GFモストップジンRスプレー…草花・野菜・観葉植物に。

薬剤を使用するときには、使用上の注意をよく読んでからお使いください。

褐斑病は湿度をコントロールすることで予防できるんですね。
はい。また、発症したら早めに薬剤を使いましょう。

まとめ

野菜・花・庭木・果物など、幅広い種類の植物に発生する褐斑病の症状や原因などがおわかりいただけたかと思います。褐斑病という名前を知らず、よく日常でも見受けられる症状なので伝染する病気だと知らずに放置してしまう人もいるようです。褐斑病は何も対策を打たずにいると、どんどんと周囲の植物にダメージを与えて最終的には枯らしてしまいます。最初に斑点が出始めた段階で、さまざまな対策を行うことが大切なのです。

また、できるだけ褐斑病が発生しないように、水はけや通気などにも気を配ることも重要でしょう。せっかく育てている植物をだめにしてしまわないように、早めに慎重に手を打ってくださいね。


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