「水耕栽培」は土を使わない栽培方法のことを言います。
手軽にできて失敗も少ないことから、ガーデニング初心者によく使用されている栽培方法です。
水耕栽培を始めようと思っているなら、液肥について知っておかなければなりません。
「水耕栽培液肥を使わないと植物がうまく育たないのだろうか?」
「水耕栽培用肥料は土耕栽培用肥料とどう違うのか?」
「土耕栽培用の肥料を使ってもいいの?」
そんな疑問をお持ちの人は多いでしょう。
ここでは、水耕栽培の液肥についてご紹介します。
土耕肥料との違いや選び方、使用時の注意点についてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.水耕栽培の液肥について
植物が育つためにはさまざまな栄養が必要です。
中でも欠かせない栄養素が、窒素・リン・カリウムなどの多量要素、カルシウム・マグネシウムなどの中量要素、硫黄・鉄・マンガンなどの微量要素です。
ただ水の中で育てているだけでは、植物は正常に成長していきません。
液肥によって必要な栄養を加えることで、みずみずしい葉をつけ、美味しい野菜を作り出せるのです。
液肥には有機肥料と化学肥料の2種類があります。
鶏や牛のフン・魚粉・骨粉などの動物由来のものや、油かす・腐葉土などの植物由来のものを混合させて作られたものが有機肥料であり、窒素・リン・カリウムの3大要素の成分量の合計が全体の3割を超えるように化学的に作られたものが化学肥料です。
家庭でおこなわれる水耕栽培ではほとんどの場合に化学肥料が使われており、有機肥料に比べて植物の成長速度が速いのが特徴となっています。
さらに、植物の成長段階に合わせて必要な栄養素を与えるために「1液性」「2液性」「3液性」と分かれていますが、一般家庭でよく使われているのは、どの成長過程にもすべて同じ栄養素を与える「1液性」です。
2.土耕肥料との違いは?
水耕栽培用の液肥は土を使って植物を栽培する「土耕栽培」で使用される肥料とどう違うのでしょうか。
「土耕栽培用の肥料で水耕栽培はできないのか?」という疑問を持つ人も多いようですが、水耕栽培にはやはり水耕栽培用の肥料を使用するべき、と言われています。
まず、植物の成長に多量要素・中量要素・微量要素をはじめとするさまざまな栄養が必要なのは、土耕栽培の場合も同じです。
違いは、土自体にもある程度の栄養素が含まれているということ。
水耕栽培の場合は土を使わずに水で植物を栽培するのですが、水にはほとんど栄養素が含まれていません。
土自体に肥料成分が含まれている土耕栽培では、たくさん必要である多量要素が多く含まれた肥料が使われます。
中量要素や微量要素はもともと土に含まれているため微量のものが多く、中には配合されていない肥料もあるようです。
しかし、水耕栽培では多量要素はもちろんのこと、中量要素や微量要素もしっかり含まれた肥料を使う必要があります。
つまり、窒素・リン・カリウムの多量要素に中量要素や微量要素を多く追加している肥料が、水耕栽培用の肥料というわけです。
土耕栽培用の肥料では栄養素が不足する可能性があるため、きちんと使い分ける必要があるということを覚えておいてください。
3.液肥の選び方
では、数ある水耕栽培用液肥の中で、どのようにしてよいものを選べばいいのでしょうか。
液肥の選び方についてご紹介します。
初心者は「1液性」を選ぶべき
通常は野菜を育てる際、野菜の成長段階に合わせて化学肥料を追肥していくことになります。
しかし、野菜の栽培が初めての人が野菜の成長段階を見極めるのは大変難しく、うまく追肥できる人はほとんどいません。
そこで、初心者の場合は収穫まで野菜を成長させられる「1液性」の液肥を選ぶことをおすすめします。
1液性の液肥としては「ハイポニカ液体肥料」が有名ですが、栄養のバランスの配合が絶妙なので、長期間栽培を続けても安定して必要な肥料を与えられるのが特徴です。
「ハイポニカ」は特にトマトの栽培に適していて、うまくいけば「トマトの木」のように大きく育て上げることも可能だとか。
初心者でも悩むことなく最後まで野菜を育てられる「ハイポニカ」をぜひチェックしてみてください。
キットを利用すると便利
「水耕栽培用のキット」というものも販売されています。
水耕栽培に必要なものがすべてそろっていますので、自分で調べて肥料を選ぶ必要もありません。
照明とガラスケースがセットになったオシャレなデザインのものや、水と養液がしっかりと循環する仕組みになっているものなど、さまざまな栽培キットが注目を集めています。
栽培者の負担を減らして失敗せずに水耕栽培を楽しむことを目的としていますので、気軽に始められますよ。
4.使用時の注意点について
水耕栽培の液肥を使用する際には、いくつか注意点があります。
これを守って、安全で確実に水耕栽培を成功させましょう。
規定量を守る
液体肥料はメーカーが指定している規定量を守って使用する必要があります。
規定量を守れば植物の状態は良くなりますが、植物が吸収しきれない量を入れた場合、残りがコケの栄養分になってしまいます。
コケが大量発生すると見た目にも悪くなりますし、植物が健康に育ちにくくなってしまうでしょう。
ただしメーカーが指定するのは「水量何リットルに対する液肥の量」であり、植物に必要な栄養素の量ではないということを覚えておいてください。
大きな入れ物に少量の植物を栽培していれば、規定量の液肥を入れても当然植物が吸収しきれなくなってしまいます。
栽培する植物の量に合わせて適切な量の液肥を使用するよう心がけましょう。
保管はしっかりと
液肥には安全性の高い原料しか使用されていませんので、成分変化は起こりにくくなっています。
しかし、キャップが開いたまま長期間放置しておいたり、直射日光の当たる場所に置きっぱなしにしていると、成分が変化する恐れがあります。
使用した後の液肥は必ずしっかりとキャップをして、直射日光の当たらない室内で保管しておくようにしてください。
成分が変化した液肥を使用すると、じゅうぶんな効果が得られず、植物が健康的に育たなくなる可能性があります。
与えるタイミングを見極める
液肥の多くは化学肥料で即効性があるため、植物の状態に合わせて適切に使用しないと逆効果になってしまう場合もあります。
例えば植物が弱っているときにすぐに肥料を与えたくなる気持ちはわかりますが、弱っている植物には刺激が強すぎて、枯らしてしまうことになるかもしれません。
液肥を与える前に、栽培環境は合っているかどうか一度見直してみてください。
日光の当たり具合はどうか、温度は適切であるかなど、チェックすべきポイントはたくさんあります。
植物が液肥を必要としている生育状況であるかを見極める力を身につけることが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
- 水耕栽培の液肥について
- 土耕肥料との違いは?
- 液肥の選び方
- 使用時の注意点について
水耕栽培の液肥についての情報をまとめてみました。
「水耕栽培を始めてみたいけれど液肥について分からないことがある」という人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
水耕栽培を成功させて、緑あふれるお部屋と自分で育てることの喜びを知ってもらえたら幸いです。