水耕栽培というのは、土の代わりに水や肥料を溶かした水溶液で植物や野菜を栽培する方法です。何だか難しそうな感じがしますが、ヒヤシンスの球根を水につけて栽培してみた方もいるでしょう。あれも水耕栽培です。水耕栽培を成功させるポイントは水。水質が悪くなれば、水耕栽培は失敗してしまいます。
そこで、今回は水耕栽培における水換えのポイントについてご説明しましょう。水耕栽培にチャレンジしてもすぐに失敗してしまうという人は、水換えがうまくいっていない可能性が高いのです。この記事を参考にぜひ再チャレンジしてみてくださいね。
1.動かない水は汚れやすい?
水耕栽培は、前述したように土の代わりに水や水溶液で植物を育てる方法です。工場のような大規模な施設で行っていることもあれば、キッチンであき容器に水を入れて野菜を発芽させるのも水耕栽培の一種でしょう。思っている以上に、水耕栽培は身近なのです。しかし、「ネギなどが再生できると聞いて根っこを水につけておいたが、結局ダメだった」という経験はありませんか? それは、水質が悪くなってしまった可能性もあるのです。
水もほかの有機物のように悪くなります。池や沼と川を思い浮かべてください。池や沼は水が濁ったり藻などが発生したりすることがあります。しかし、川は水質が汚れていても藻が発生したり濁ったりすることはあまりないでしょう。
これは、水に流れがあるから。動かない水は雑菌が繁殖しやすく、腐りやすいのです。大規模な施設で行う水耕栽培は、水を循環させて流れを作っています。ですから、雑菌などが繁殖しにくいと同時に新しい酸素も取り入れやすくなっているのです。
2.水耕栽培の水は腐りやすい?
水耕栽培は、水の中に植物をつけて育てます。ですから、植物から死んだ細胞などもはがれ落ちるでしょう。また、肥料を溶かした液は栄養豊富。植物だけでなくカビやほかの微生物にとっても繁殖しやすい環境です。
さらに、植物は根からも呼吸をしています。ですから、植物を水耕栽培していると老廃物が水中に出て、それだけ汚れるのです。ですから、水耕栽培をしている場合は、水の定期的な交換が必要になります。
3.水耕栽培の水換えのポイントや注意点
では、水耕栽培の水はどのくらいの頻度で交換すればよいのでしょうか? この項では、水を換える頻度とポイントをご紹介します。
3-1.少ない水ほど頻繁に交換する
水耕栽培に使う水の量は育てる植物によって違います。たとえば、植物を苗や種から育てようと思った場合と根っこだけを残した野菜を再発芽させようと思った場合では、再発芽の方が水を使いません。
そして、水が少ないほど早くいたみます。ですから、野菜を再発芽させる場合は、毎日水を取り換えましょう。逆に、大きな容器で水耕栽培をしている場合は、3日~1週間に1回くらいで大丈夫です。
3-2.水が濁ったりぬめったりしてきたら取り換えのサイン
しかし、水のいたみ具合は環境によっても違います。水が濁ってきたりぬめりが出てきたりしていれば、取り換えのサインです。できるだけ早く取り換えましょう。
また、培養地を使っている人は、培養地がカビた場合も取り換えのサインです。この場合は、カビた培養地ごと取り換えましょう。
3-3.日なたに置いたものほどこまめに取り換えよう
同じ条件の植物を水耕栽培していても、日当たりのよい場所に置いておくほど水は早くいたみやすくなります。日光は植物にとって大切な栄養源。ですから、日なたに置いておくほど植物だけでなく雑菌なども繁殖しやすくなるでしょう。日中、日が当たるような場所に置いてある水耕栽培している植物は、こまめに水を換えてください。
3-4.肥料の溶かす量を一定にしておく
水耕栽培は、単なる水で行う場合と肥料を溶かした水溶液で行う場合があります。野菜の再発芽くらいでしたら水でも行えるでしょう。しかし、植物を種や苗から育てる場合は、肥料を溶かした水溶液で行う方が発育もよくなります。
水を換える場合は、肥料も追加して水溶液を作らなくてはなりません。水溶液に溶かす肥料の量がまちまちにならないように注意しましょう。
また、植物の種類によっては花が咲くときや結実するときに、よりたくさんの肥料を必要とします。その場合は肥料を追加していってあげてください。
3-5.根を傷つけないように気をつけよう
植物の水換えをする際、根を傷つけないようにしましょう。根がたくさんあるほど、栄養素や水をたくさん吸い上げられます。また、容器に対して根がたくさんはえすぎている場合は、容器を大きくしてあげることも必要です。
根を傷つけないように水を換えるには、排水しやすいよう気にすることも大切。いくつもの株を育てている場合ならば、排水穴がある容器を利用しましょう。これならば、植物の根を傷つけずに済みます。
また、そのような容器がない場合は、ふたりがかりで水を換えましょう。ひとりが植物を持ち上げて、もうひとりが水を換えれば、根を傷つけることはありません。
3-6.根を水にどっぷりとつけてはいけない
水耕栽培をする際、誤解されがちなのが根をすべて水につけてはいけないということです。植物の根は呼吸しています。土は隙間があるため、しっかりと埋めても呼吸ができますが、水に根をどっぷりとつけてしまえば呼吸できません。
また、植物の茎の部分まで水につけてしまうと、底から腐ってくる場合もあります。ですから、根は1センチほど外に出しておきましょう。初めて水耕栽培を行う場合は、水は根っこに触れるか触れないかのぎりぎりのところにしておいてください。
そうすれば、根が伸びやすくなるでしょう。水耕栽培に何度チャレンジしても失敗するという人は、根っこの上部まで水につけているかのせいがあります。
4.害虫はこまめに駆除しよう
葉物野菜を育てていると、どこからともなく害虫がやってくることもあります。水耕栽培は土壌が媒介する病気は防げますが、害虫は防げません。ですから、害虫がついたらこまめに取りましょう。そのままにしておくと葉っぱが食い尽くされてしまうかもしれません。また、害虫をできるだけつけないようにするには、外に出さずに家の中で育てましょう。
おわりに
今回は、水耕栽培の水換えの重要性やポイントについてご説明しました。
まとめると
- 水耕栽培は単に植物を水につけて入れ歯できるというわけではない。
- 定期的に水を換えてあげないと、失敗する。
- 少ない水ほどこまめに換えよう・水を換えるときは、根っこを傷つけないように注意しよう。
ということです。
水耕栽培は土壌栽培よりも病気にかかりにくいというメリットがありますが、その分植物の状態をこまめに見てあげないと失敗しやすいでしょう。特に、野菜の再発芽は簡単なように見えて難しいのです。数センチの水で行えますから、できるだけ毎日水を換えましょう。
水を循環するシステムを作れば、水換えの手間はぐっと減りますが初期費用がかかります。熱帯魚などを飼っていて水槽に使っていた循環システムがあるという人は、利用してみてもよいでしょう。それでも、10日間に一回は水を換えてください、そうすれば元気に育っていくのです。