家庭菜園というと、農地を借りて行うものというイメージを持っている方も多いでしょう。
しかし、現在はプランターや植木鉢を利用してベランダで家庭菜園を作っている方もいます。
これならば、都会でも気軽に家庭菜園を楽しめるでしょう。
しかし、交通量が多い場所でベランダ菜園を行っていると、農作物に排気ガスがつくかもと心配している方もいます。
そこで、今回は農作物につく排気ガスの安全性や対策方法をご紹介しましょう。
ベランダで家庭菜園を行っている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
目次
1.排気ガスの危険性とは?
排気ガスとは、車のエンジン内でガソリンが燃えたり化学反応したりして生じた気体のことです。
車のマフラーから、真っ黒な気体が出ていますね。
あれが排ガスです。
排ガスの主成分は、一酸化炭素や硫黄酸化物、そして粒子状物質になります。
この粒子状物質のうち、2.5マイクロメートル以下のものがPM2.5と呼ばれるものです。
多量に吸いこめば、肺や呼吸器に重大な影響を与える可能性があるでしょう。
今は、環境に配慮してできるだけ有害物質を含まない排気ガスを出す自動車も増えています。
しかし、古いトラックなどの大型車に搭載されているディーゼルエンジンからは、今でも有害物質が多く出ているのです。
つまり、幹線道路のそばにある住宅ほど、排気ガスの悪影響は受けやすいでしょう。
2.排気ガスが農作物へおよぼす影響とは?
実は、排気ガスが農作物へおよぼす影響はあまり問題になっていないのです。
郊外に行けば、幹線道路の外側に田畑が広がっている光景は珍しくありません。
つまり、日本で作られている農作物の多くに、排気ガスはかかっているのです。
また、大規模な農家は農作業にトラクターなどを使うのですが、これらからも排気ガスは出ます。
さらに、排気ガスは農作物に直接かけられるわけではありません。
一度空気中に放出されてから、その一部が農作物に付着するのです。
ですから、「食べたら即体に影響が出る」ほどの排気ガスが農作物に付着する可能性はとても低いでしょう。
PM2.5というととても怖い有害物質のように感じられますが、長期間大量に吸いこみ続けなければ影響は出ません。
また、PM2.5は排気ガスの中以外にも中国から飛んでくる黄砂やタバコの煙の中にも含まれています。
ですから、排気ガスを完全にシャットアウトしても、家の中に喫煙者がいればPM2.5は防ぎきれません。
3.排気ガスを取りのぞく方法とは?
しかし、排気ガスはきれいなものでもありません。
できれば完全に取りのぞきたいと考えている人は多いでしょう。
この項では、野菜についた排気ガスを落とす方法をご紹介します。
3-1.洗う
家庭菜園で育った無農薬の野菜を枝からもいでそのまま食べる、というシーンをテレビなどで見たことがある人がいるでしょう。無農薬だから安全、ということをアピールしたいのだと思いますが、たとえ無農薬でも外で育った野菜は汚れています。
もちろん排気ガスもついているでしょう。ですから、野菜を取ったら念入りに洗いましょう。
特に、へたと実の間や、葉っぱが折り重なっているところは要注意です。
野菜の表面についた排気ガスならば、流水で丁寧に洗ったら落ちます。
3-2.皮を厚くむく
洗っただけ出は心配という方は、野菜の皮を厚くむきましょう。
そうすれば、皮ごと排気ガスを取りのぞけます。
また、根菜は土の中に埋まっていますから排気ガスの影響を受けにくいのです。
3-3.ハウス栽培のものを食べる
露地栽培よりもハウス栽培の方が、野菜に大気中の汚れはつきません。
ですから、「どうしても気になる」という場合はハウス栽培の野菜を選んで食べましょう。
そうすれば、排気ガスの影響は避けられます。
4.ベランダ家庭菜園をするときの注意点とは?
では、ベランダで家庭菜園を作るときは、どうすれば排気ガスを防げるのでしょうか?
この項では、その一例をご説明します。
4-1.幹線道路に面さないベランダで行う
幹線道路ほど交通量は多くなり、たくさんの排気ガスが排出されているでしょう。
ですから、可能ならば幹線道路に面していないベランダで農作物を育ててください。
道路があれば車は走っていますが、幹線道路に面した場所よりは影響を受けにくいです。
4-2.実がなったら、おおいをかける
農作物がなったら、まだ小さいうちにおおいをかけてしまいましょう。
そうすれば、排気ガスがつきません。PM2.5を完全に防ぎたければビニールが一番ですが、季節によっては中が高温になります。ですから、下の方は隙間を開けておきましょう。
簡易的なビニールハウスのようなものです。
4-3.室内で育てる
日当たりのよい部屋ならば、窓から差し込む日光で野菜が育てられます。
とても交通量の多い幹線道路沿いに住んでいて、外壁などがすぐに真っ黒になってしまうという場合は、室内で育てた方が安全でしょう。
しかし、室内で育てる場合は汚さないように気をつけてください。
また、室内の温度も重要です。夏野菜を育てる場合、冷房をきかせすぎるとうまく育たないこともあります。
ですから、植物を育てるならば日当たりのよい一部屋を温室のように使うとよいでしょう。
4-4.水耕栽培にチャレンジする
室内で天候に関係なく野菜を育てたい場合は、水耕栽培もお勧めです。
水耕栽培とは、土の代わりに肥料を溶かした水溶液で野菜を育てる方法。
LEDライトを使えば太陽の光も不要です。
根菜を育てることはできませんが、レタスやトマトといった家庭でよく使う野菜なら問題なく作れます。
水耕栽培は、大規模な工場のような施設で行うというイメージを持っている方もいるでしょう。
しかし、今では家庭用の小さな設備がインターネット通販などでも手軽な値段で売られています。
熱帯魚などを飼う水槽によく似た設備と考えていただければ、イメージもわきやすいでしょう。
ライトもついていますから、天候に関係なく野菜が育てられます。
もちろん、排気ガスの心配もありません。
また、超高層マンションの高層階はベランダがない、という家も多いでしょう。
そんな家でも、水耕栽培ならば家庭菜園が楽しめるのです。
5.おわりに
いかがでしたか?
今回は、ベランダで家庭菜園を行う場合の、排気ガス対策についてご説明しました。
まとめると
- 排気ガスは必要以上に心配することはない。
- 野菜をよく洗ったり皮を厚くむいたりすれば、排気ガスは落とせる。
- 水耕栽培をすれば屋内で野菜を育てられるので、排気ガスの心配もない。
ということです。
今は日本中に道路が張り巡らされています。
ですから、排気ガスを全く浴びせずに外で野菜を作ることは、ほぼ不可能でしょう。
排気ガスを毎日長時間浴びない限り、人体に影響をおよぼすほど排気ガスを野菜が浴びることはありません。
また、排気ガスを浴びて植物が枯れることもないでしょう。
しかし、心配ならば前述したように水耕栽培にチャレンジしてみてください。
数万円あれば、家庭で栽培できるキット一式がそろいます。
魚を飼うように野菜を育てるので、オシャレなインテリアにもなるでしょう。
今は実際にビルの中で野菜を作り、テナントのレストランで調理をしているところもあります。
もちろん、大気中の汚れもついていませんから、さっと洗うだけで大丈夫です。