トマトの挿し木方法を知ろう! 育て方や適切な時期はいつ?

トマトは脇芽したものなどを使って挿し木すれば比較的簡単に発根します。育てている途中で折れた枝があっても、挿し木にすることができるのです。育て方によっては水耕栽培で育てることもできるでしょう。トマトの挿し木に成功するための正しい育て方をご紹介します。

「トマトの挿し木にはどんなメリットがあるのか?」「挿し木にするのに適した時期とは?」「挿し穂の選び方について知りたい」

トマトの正しい挿し木方法を知って、家庭菜園をもっと楽しみましょう。

  1. トマトの挿し木とは?
  2. トマトの挿し木方法
  3. 挿し穂の選び方や注意点

1.トマトの挿し木とは?

トマトを栽培する上で、脇芽を取る必要が出てきます。そして、その脇芽を挿し木にして利用することになるのです。まずは、トマトの脇芽を取る理由やメリットについて考えてみましょう。

1-1.脇芽を取る理由

トマトは比較的育てやすい野菜であり、家庭菜園の初心者に最適です。しかし、脇芽を取って挿し木にする方法については知らない人が多いのではないでしょうか。トマトは一番高い部分に「頂芽」と呼ばれる生長点が存在しています。生長点は新しい葉や花が生まれる重要な場所であり、温度を感知するのもこの場所です。

脇芽とは、頂芽以外の生長点のことであり、一般的には「葉の付け根」に存在しています。脇芽をそのまま放置しておくと、そこから新しい葉や花がどんどん生えてくるのです。この現象を「栄養繁殖」と呼び、親株と全く同じ遺伝子を持ったクローン個体ができあがります。

1-2.脇芽を取るメリット

日本での一般的なトマト栽培では、脇芽を取って捨てています。その理由にはどのようなものがあるのでしょうか。まず1つめが、果実の品質向上のため。トマトの脇芽を取ることで、果実の品質が向上すると言われています。光合成によって作られた糖分や酸の分配は果実間で競合しているため、果実数が少ないほど味はおいしくなるのです。

脇芽を放置しておくとそこからも花房が出てくるため、1株あたりの花数が多くなりすぎます。花を摘む方法もありますが脇芽を取る方が簡単に対処できるというわけです。

また、脇芽を取ることで病気を予防することにもつながります。葉が多くなると風とおしが悪くなり、植物にとって有害な菌の繁殖が盛んになってしまうのです。病気の発生を防ぐには、古い葉と脇芽を取り除き、風とおしと日当たりをよくしてあげることが大切でしょう。

1-3.挿し木は脇芽の活用方法

一般的に、トマトの脇芽は捨てることになります。しかし、日本の家庭菜園でもできる脇芽の活用方法として、挿し木があるのです。挿し木は、脇芽が生長点を持つことを利用した「栄養繁殖による苗作り技術」と言えるでしょう。トマトの挿し木方法はいくつかあり、それぞれの特徴があります。自分に合った方法を選びましょう。

トマトの挿し木は脇芽を使ってできるんですね。
はい。はい。脇芽の活用法として覚えておきましょう。

2.トマトの挿し木方法

トマトの挿し木に適しているのは、涼しい季節です。6月中旬~下旬くらいの、猛暑に入る前の時期が最適でしょう。では、トマトの挿し木方法についてご紹介します。

2-1.水に挿すだけの方法

まず、挿し木をするための挿し穂を準備します。水に入った瓶などに、準備した挿し穂を入れておきましょう。このとき、切り口から3分の1ほどが水に浸かるようにしておく必要があります。そして、日向(ひなた)ではなく、明るい日陰に置いて管理してください。容器の水が濁ってきたら、新しいものに交換します。

暑い時期であれば、毎日水を交換するのがおすすめです。1~2週間ほどたつと水に挿している部分から根が出てきます。ある程度出てきたら、土に植え替えてあげましょう。ただし、水挿しによって植えた根は、通常の挿し木に比べて吸水力が弱いのが特徴です。植え替えてから1週間ほどは、土を乾かさないように水やりを行いましょう。

通常の植物のように、土が乾いてから水やりをしてしまうと水不足で枯れてしまいます。また、水の与えすぎも根腐れになる可能性があるため、十分注意してください。

2-2.水上げ後に土に挿す方法

十分に水上げを行ってから、土に挿しておく方法もあります。準備した挿し穂を、水の入った容器に入れて1日置いてください。挿し穂の葉がピンと張っていれば、水上げが成功した証拠です。この時点で葉がしおれてしまっている場合は、うまく水を吸い上げられないため、挿し穂としては使えないでしょう。水上げが完了した挿し穂を湿った用土に挿します。

発根するまでは乾燥させないよう注意しましょう。土が乾いたら水を与え、半日陰の場所で管理してください。

2-3.すぐに土に挿す方法

準備した挿し穂を、そのまますぐに土に挿す方法です。環境さえ合えば十分に発根して育つでしょう。ただし、十分に発根するまでに土が乾燥してしまうと挿し穂がしおれてしまいます。新しい葉が出てくるまでは、土が乾燥しないように気を配りましょう。

水に刺し穂をして、発根したら植え替えればいいんですね。
はい。最初から土に植えるよりも成功率は高いでしょう。土に植える場合は乾かないように注意しましょう。

3.挿し穂の選び方や注意点

最後に、挿し穂の選び方や作り方、挿し木を行う際の注意点をいくつかご紹介しましょう。

3-1.挿し穂の準備方法

15~20cmほどの脇芽を用意し、土や水に挿しておく部分に付いている葉を根本から切り取ります。よく切れるハサミで切り口を斜めに切りましょう。挿し穂は蒸散が早く、どんどんしおれてしまいます。すぐに水か土に挿すようにしましょう。

本来は、脇芽が小さいうちに摘んでしまう必要があります。しかし、株の裏側にあると気付かないうちに脇芽が大きく育ってしまうこともありでしょう。挿し穂を選ぶ際には、十分注意して脇芽を観察するようにしてください。

3-2.脇芽は大きすぎず小さすぎず

脇芽は5cm以上で取り、挿し木する必要があります。10cm以上にしてしまうと根が張る前に株の水分が不足してしまい枯れることがあるのです。

逆に、小さすぎても苗の完成までに時間がかかってしまうため、避けるべきでしょう。脇芽の大きさは、5cm以上10cm以下が最適です。

3-3.根が張ったかどうか確認する

根が張ったかどうか確認するためには、脇芽を寝かせ気味に挿し木する方法があります。寝かせてあった脇芽が立ちあがったら、根が張った証拠です。ぐったりしているようなら、水を与えて日陰に置いてあげましょう。

3-4.新しい土を用意する

挿し木を育てるためには、清潔な土を用意する必要があります。今まで使っていたものや屋外から持ってきた土で育成すると腐ったり根が出なかったりすることも。園芸店や専門店で、挿し木用の土を用意することをおすすめします。

また、切り口の衛生管理にも注意が必要です。切り口は、新しい根を出す部分であるとともに、菌が入りやすい場所。カット部分は必ず清潔な状態にしてあげてください。切り方には「斜め切り」と「水平切り」があります。斜め切りは根が出るスピードが速い分、量は少なくなるでしょう。水平切は根が出るスピードが遅く、根の量が多いのが特徴です。

刺し穂の選び方も大切なんですね。
はい。10cmほどの、勢いのあるものを選びましょう。

まとめ

トマトの挿し木にはさまざまな理由やメリットがあり、方法もいくつか存在しています。脇芽取りや挿し木に関しては、家庭菜園を行う上で知っておかなければならない情報がたくさんあるでしょう。おいしくて健康なトマトを育てるためにも、ぜひ詳しく勉強しておいてください。


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