ガーデニングが人気を集めている今「家で果物を育ててみたい」と思う人も多いのではないでしょうか。果物を自分で育てることができれば、スーパーで高い買い物をしなくて済みますよね。しかし、果物は野菜に比べて育てるのが難しいと言われているのです。特に初心者はガーデニングに失敗しやすいため、できるだけ育てやすい果樹から始めたいところでしょう。最初は希望の果物を育てることができなくても、まずは育てやすいものから始め、慣れていくことをおすすめします。
この記事では、育てやすい果樹の種類や野菜作りとの違い、果樹の育て方などをまとめて解説しましょう。
この記事を読むことで、どの果物が育てやすいのか、どうすればうまく栽培できるのかがわかります。おいしい果物を育てる楽しさと食べる楽しさを堪能してください。
1.果樹の「育てやすさ」について
まずは、果樹の「育てやすさ」について解説します。育てやすい植物とはどのようなもののことを言うのでしょうか。
1-1.果樹とは?
果樹とは、その名のとおり「果物がなる木」のことです。大きくわけて「常緑果樹」と「落葉果樹」があり、柑橘(かんきつ)類や熱帯果樹を常緑果樹、ブドウや桃・リンゴなどを落葉果樹と言います。寒さに弱い常緑果樹は3月、寒さに強い落葉果樹は11~3月に植え付けると失敗がないでしょう。自宅で栽培する場合は、食べたい果物だけで選ぶのではなく、栽培に合った気候や自分の生活スタイルを考えた上で選ぶ必要があります。今、あなたが失敗なく育てられるものにはどのようなものがあるのか、よく考えてみてください。
1-2.育てやすい植物の条件
特に初心者の場合、どの果樹を育てるかを考える上で「育てやすさ」がとても重要なポイントになります。植物を栽培する際に条件となる「育てやすさ」とは、具体的に以下のようなものです。
- 水やりの回数や頻度が少なくて済み、手間がかからない
- 丈夫な性質をしており、手をかけなくても病気になりにくい
- 害虫に強いため、対策の必要が少なくて済む
まずは、上記のような「育てやすい果樹」を選んで栽培を始めることをおすすめします。
1-3.育てる場所での特徴
育てる場所によっても育てやすい果樹は変わってきます。落葉果樹は寒さに強いとは言え、地域や種類によっては冬の寒さに耐えられないこともあるのです。屋外で栽培する場合は、自分が住んでいる地域の最低気温が果樹の耐寒気温を下回らないかどうか確認するようにしましょう。室内で栽培する場合は、日陰でも育ちやすいものを選ぶことをおすすめします。室内は屋外に比べて日光が当たりにくいため、特性を見極めることが大切です。
2.果物と野菜、育てやすさの違いとは?
果物は野菜に比べて育てにくいと言われています。その違いにはどのようなものがあるのでしょうか。
2-1.果物と野菜の違いとは?
野菜は「見た目」を重視することが多く、一方、果物の場合は味の差がはっきりと現れるのが特徴です。食べてみて「おいしい」と感じる果物は、野菜よりもはっきりわかりますよね。そこが、野菜との違いです。果物を栽培する際は、確実に味がおいしいものを育てるために、野菜以上の手間が必要になるでしょう。
2-2.果物の方が難しい理由
では、理由を具体的に考えてみましょう。まず、実がなるまでに野菜より時間がかかります。数か月で収穫できるものも多い野菜に比べて、実がなるまでに何年もかかるものもあるのです。また、果物は甘く育てることが必要であり、そのためには栄養豊富な土を用意しなければなりません。栄養不足では実がならないこともあるため、土選びも慎重に行う必要があるのです。さらに、野菜以上に気候に左右されやすい果物は、気候風土に合ったものを選ぶことが大切になります。
3.育てやすいのはどんな果実なのか?
では、栽培に適した「育てやすい果樹」にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的にご紹介します。
3-1.ベリー類
初心者におすすめなのが、ストロベリーやブルーベリーなどのベリー類です。特にイチゴは実がなるまでの期間が数か月しかありません。もちろん、室内栽培にも適しているため、害虫や天候の心配がないのです。もともと病害虫がつくことも少ないため、屋外でも育てやすい果樹と言えます。収穫期が6~9月と長いため、長期的に楽しむことができるでしょう。
3-2.柑橘(かんきつ)類
柑橘(かんきつ)類はもともと甘さがないため、糖度の心配をする必要がありません。そのため、野菜のような育てやすさを感じるでしょう。特にレモンは実がなりやすく、庭木としても美しいのが魅力です。庭にレモンの木が1本あれば、いつでも無農薬のレモンを手に入れることができますよ。また、寒さに強いユズもおすすめです。
3-3.無花果(いちじく)もおすすめ!
果物の中でも簡単に栽培できるものに無花果(いちじく)があります。苗の植え付け後2年目から収穫が可能です。あまり場所をとらないため、狭い庭でも栽培することができます。
4.果樹を育てるために知っておくべきこと
土で育てる場合と水耕栽培の場合をご紹介します。育て方のポイントや注意点をぜひ参考にしてみてください。
4-1.土で栽培する場合
まずは、土で栽培する場合です。庭やプランターなどで栽培することが多いため、土作りをはじめとする育て方のポイントをご紹介します。
4-1-1.育て方のポイント
果樹がおいしい実をつけるためのポイントは以下のとおりです。
- 日当たりと風とおしのよい場所で育てる
- 水やりは朝たっぷりと与える
- 1年に3回ほど肥料を与え、鳥に食べられないように土をかける
- 実を大きくするための間引きを行う
- 食べごろになったらその都度収穫する
- 定期的に観察して害虫をチェックする
4-1-2.苗や土作りについて
多くの果樹は、12~2月が苗植えの時期です。根が休眠している間に苗を植えましょう。よい苗の条件は以下のとおりです。
- 枝が太く長い
- 芽と芽の間隔が間延びしていない
- 葉色が濃い
- 穂木と台木がしっかり接合している
- 細かい根がたくさんある
- コブやカビがついていない
- 根が褐色
土作りについては、水はけだけでなく通気のよいもの、肥料の吸収がよいものにするよう工夫が必要です。赤玉土6:腐葉土3:川砂1を混ぜたものを使うとよいでしょう。ただし、酸性の土や中性の土を好む果樹もあるため、それぞれの特性に合ったものを選ぶことをおすすめします。
4-1-3.剪定(せんてい)について
果樹の剪定(せんてい)は非常に重要です。増えた枝を切ることによって、養分が余分にとられることのないようにしましょう。剪定(せんてい)時期は果実の種類によって異なるため、しっかりと調べておくことをおすすめします。主な剪定(せんてい)には「切り返し剪定(せんてい)」と「間引き剪定(せんてい)」があり、元気のない果樹は冬の間に切り返し剪定(せんてい)を行って強い枝を出すようにしましょう。間引き剪定(せんてい)は枝を元から切って間引くことで、全体に光が当たるようにするものです。
4-2.水耕栽培の場合
次に、水耕栽培の場合です。室内で栽培するときは、水耕栽培で育てる人も多いでしょう。育て方のポイントや苗についてご紹介します。
4-2-1.水耕栽培できるもの
天候に左右されず、害虫の心配も少ない水耕栽培は、メリットの多い栽培方法として人気です。もちろん果物の中にも、水耕栽培で育てられるものがあります。たとえば、イチゴやミニメロン・パイナップルなどは水耕栽培に適していると言われているため、ぜひ試してみてください。水耕栽培はインテリアとして楽しむこともできておすすめですよ。
4-2-2.育て方のポイント
土を使わない水耕栽培は、初心者でも始めやすいのがメリットです。庭やベランダがない家でも問題ありません。しかし、土での栽培とは違ったポイントをいくつかあるため、覚えておきましょう。
- 虫が花粉を運ぶことがないため、手動で受粉する必要がある
- 根腐れの可能性があるため、液体肥料の濃度には気をつける
- 酸素が多く含まれている新鮮な水を絶えず流す
- 日光や蛍光灯などの光をたくさん浴びる
4-2-3.苗について
水耕栽培初心者の場合は、苗から育てる方が簡単でしょう。苗を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしてください。
- 葉が濃い緑色をしている
- 茎が太く根が丈夫である
- 節と節の間が詰まっている
特に、根が丈夫な苗ほど立派に果樹が育ちます。果樹の苗木を販売しているホームセンターや園芸店へ直接足を運び、実物を見て選ぶのがおすすめです。
4-2-4.栽培キットについて
水耕栽培を始める場合は、道具を用意する必要があります。一つ一つそろえるのが難しい場合は、水耕栽培キットを利用しましょう。水耕栽培に必要なものがすべてそろっているため、すぐに栽培を始めることができるのです。水耕栽培専門店である「水耕栽培どっとネット」では、さまざまな水耕栽培キットを販売しています。初心者におすすめしたい情報もたくさん載っていますのでぜひチェックしてみてください。
4-3.果樹を育てる際の注意点
果樹の栽培では、病気や害虫に注意する必要があります。特に高温多湿の環境では、黒点病やうどんこ病などが発生しやすくなるでしょう。また、アブラムシやハダニなどの害虫の被害も心配されます。感染した部分を素早く取り除き、薬剤を散布しましょう。感染の拡大を防ぐことが、栽培成功のポイントになります。
5.育てやすい果樹に関するよくある質問
「育てやすい果樹について知りたい」という人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。
5-1.庭でブルーベリーを育てたいと思います。注意点にはどのようなものがありますか?
A.ブルーベリーは乾燥に弱いため、水やりは十分に行ってください。夏場は毎日1~2回水やりをしましょう。また、十分に日が当たらないと育ちが悪くなるため、日当たりには注意してください。鳥に狙われやすい果実であるため、ネットをかけて鳥対策をすることも忘れないようにしましょう。
5-2.みかんの木が販売されていたため、栽培を始めました。難易度はどのくらいですか?
A.みかんの栽培は果樹の中で難易度が低めです。比較的育てやすく、病気や害虫の心配も少ないでしょう。初心者でも十分栽培に成功する可能性はあります。
5-3.水耕栽培で果実を育てることにはどのようなメリットがありますか?
A.水耕栽培は土での栽培と違い、小さなスペースがあれば室内でも始めることができます。管理が楽であるため、初心者にもおすすめです。殺虫剤などを使わずに済むため安全で、子供のいる家庭でも安心して始めることができるでしょう。インテリアとしても楽しむことができますよ。
5-4.水耕栽培キットはいくらくらいで購入できますか?
水耕栽培キットの値段は機能やデザインによってさまざまです。1,000円以下で購入できるものもありますし、LED照明がついた本格的なタイプだと30,000~40,000円するものもあります。
5-5.水耕栽培の道具を自作することは可能ですか?
A.もちろん可能です。空のペッとボトルやコップなど、家にあるもので水耕栽培を始めることもできます。本格的に果樹の栽培を行うなら、エアーポンプやエアレーション用品などを購入し、オリジナルの道具を作ってみましょう。
まとめ
いかがでしたか? 「自宅で果物を育ててみたい」という人のために、育てやすい果樹についてまとめてみました。スーパーで購入すると高い果物も、自分の家で栽培できたらうれしいですよね。野菜よりも栽培が難しいと言われている果物を、どうすれば上手に栽培できるのか知ってください。初心者でも育てやすい果物は何なのか、水耕栽培で簡単に栽培するための方法などもご紹介しています。ぜひこの記事を参考にして、果物栽培に成功しましょう。