LEDで植物が育つ原理とメリットを紹介! 光合成できるのはなぜ?

近年、LEDの光で栽培する植物が増えていることをご存じでしょうか? 植物が光合成をするためには光が必要です。そのため、日当たりのよい場所で植物を育てている人は多いでしょう。しかし、実は日光である必要はないのです。部屋の照明や懐中電灯などに使われることの多いLED照明でも、植物を元気に育成することができます。水耕栽培キットにもLED照明がセットになっていることが多いでしょう。なぜ、LED照明で植物は光合成できるのか、疑問に思っている人もいると思います。

この記事では、LEDと植物の関連について詳しく解説しましょう。

  1. LEDの基礎知識
  2. LEDと植物について
  3. LED栽培の魅力
  4. LED栽培の方法
  5. 家庭での植物栽培に使うLEDの選び方
  6. LEDと植物栽培に関するよくある質問

この記事を読むことで、LEDがなぜ植物育成に効果があるのかがわかります。LEDを使って植物栽培を始めましょう。

1.LEDの基礎知識

まずは、LEDの原理やメリット、デメリットなどを解説します。

1-1.LEDとは?

LEDとは「発光ダイオード」の略です。電気を流すと発光する半導体のことで、白熱電球や電球型蛍光灯に比べて消費電力が少なく、寿命が長くなっています。1962年に赤色LED、1972年に黄色LEDが登場し、1993年に青色LEDが登場したことで、その活用範囲が爆発的に広がりました。白熱電球や蛍光灯に続く「次世代照明」として幅広く注目を集めるようになったのです。

1-2.原理と使用シーン

LEDが発行する原理を解説します。半導体のプラスとマイナスを接合し、電流を流すことで電圧をかけると、負荷がかかって発光エネルギーに変化するのです。その結果、光が発生します。もともと機器やスイッチのパイロットランプなどに使用されてきましたが、青色発光ダイオードが発明されてからは信号機や道路標示などにも使われるようになったのです。また、パソコンやテレビでもLEDを使用した製品が増えてきています。

1-3.メリット・デメリット

LEDのメリットとデメリットをご紹介しましょう。

1-3-1.メリット

最大のメリットは、光源が長寿命であるということです。点灯と消灯を繰り返しても寿命に影響がなく、スタークラスターでは35,000時間~50,000時間長持ちすると言われています。白熱電球や蛍光灯と比べて消費電力が少なくて済むことも大きなメリットです。一般の蛍光灯に比べて電気代が半分以下になります。点灯中のチラつきがないため、目に優しい照明として重宝されているのです。赤外線や紫外線の放出量も少なく、図書や絵画の保存箇所にも使用されることが多くなっています。

1-3-2.デメリット

LEDにもデメリットはあります。まず、価格が高くイニシャルコストがかかるという点です。一般的な蛍光灯は200~500円程度で購入できますが、LED蛍光灯は安いものでも10,000円ほどします。寿命が長くランプの取り替え作業は圧倒的に減るため、長期的に見ると間違いなくお得です。しかし、初期投資に費用がかかるという点で躊躇(ちゅうちょ)してしまう人も少なくありません。また、熱に弱い、重量が重いなどのデメリットもあるため、LEDを使用する場所として適しているかどうか考えて使う必要があるでしょう。

LEDは従来の電球や蛍光灯に比べると長時間使えるんですね。
はい。そのため、電灯の主流になりつつあります。

2.LEDと植物について

植物の栽培にLED照明が使われることもあります。その原理について解説しましょう。

2-1.光合成について

植物は太陽光を浴びることにより光合成をします。ものを食べることで栄養を吸収することができないため、光合成を行うことででんぷんやブドウ糖などの栄養素を作り出しているのです。光合成が行われるのは葉の裏側にある「葉緑体」と呼ばれる部分であり、根や葉から水と二酸化炭素を吸収し、光合成することで酸素が発生します。このように、植物も私たちと同じように呼吸をしているのです。

2-2.LEDは太陽光に近い? 光合成ができる原理

植物が光合成をするために必要なのは、太陽光の中でもごく一部になります。太陽の光には「可視光線」と「不可視光線」があり、そのうち必要なのは可視光線の青色と赤色の光だけです。そのため、人工的に赤や青の光を当ててあげることで、植物は光合成を行うことができます。人工の光による植物栽培は以前から行われていましたが、太陽灯や白熱灯を使うには電気代がかかり過ぎていました。LEDであれば電気代が安く済むため、大規模な野菜作りにも最適です。

2-3.植物栽培に使用するLEDの特徴

LED照明を使って植物を栽培する場合、光の波長を自由に変えることが可能です。そのため、植物が育ちやすい赤色や青色のLED波長を当て続けることができます。赤色光には光合成を促す効果があり、青色光には実や葉を大きく形成する効果があるのです。LED光源で照射し続けることで、植物が効果的に育っていくことがわかっています。

LEDは太陽光の代わりになるんですね。
はい。ですから、室内で植物を栽培する際に用いられることもあります。

3.LED栽培の魅力

近年注目を集めているLED栽培について、その魅力やメリットなどをまとめてみました。

3-1.LED栽培とは?

身近なもので言うLED栽培には、家庭で実践できる水耕栽培があります。容器や植物の種などと一緒にLED照明がセットになったキットを使って、手軽に栽培を楽しむことが可能です。穀物と根菜以外は育てることができるため、子どもの自由研究として取り入れている家庭も多くなっています。

3-2.魅力とメリット

LED栽培にはさまざまなメリットがあります。

  • 植物の成長スピードを高めることができる
  • 野菜の栄養価を高めることができる
  • ランニングコストを抑えることができる

そのほかにも、露地栽培と違って天候に左右されないため、いつでも安定した野菜の供給が可能です。もちろん害虫がつかないため、農薬や除草剤を使用する必要もありません。そのため、ガーデニング初心者にも大変おすすめです。

3-3.LED栽培が注目されている理由

野菜作りは天候に左右されます。安定した収穫ができないと、スーパーに並ぶ野菜の値段も高騰してしまうでしょう。LED栽培は屋内での栽培が可能になるため、収穫量も安定します。そのため、野菜の値段が上がることもないのです。また、屋内で栽培できるLED栽培では1年中さまざまな野菜を生産することができるため、旬に関係なく野菜を作り出すことができます。そういった利点が、LED栽培に魅力を感じる理由として挙げられるでしょう。

LEDを使えば植物の促成栽培も可能なんですね。
はい。窓のない部屋で植物を栽培したい場合などにおすすめです。

4.LED栽培の方法

工場や家庭におけるLED栽培についてまとめてみました。

4-1.工場のLED栽培

施設内で植物の生育に必要な環境を作り出し、計画的に栽培するのが「植物工場」です。太陽光を利用した「太陽光利用型」とLEDなどの人工光を用いた「完全制御型」があり、実際に都市部でも植物工場が普及しています。特にLEDを使った植物工場ではエネルギーを効率的に使うことができるため、注目を集めているのです。植物工場はそのほかにも、栽培に使用する水が少量で済む、都市のオフィスビルなど小さなスペースでも設置できるなどのメリットがあります。

4-2.水耕栽培キットのLED栽培

水耕栽培キットを使えば初心者でも簡単に水耕栽培を始めることができます。水耕栽培に必要な道具がすべてそろっているため、手間や時間も最小限に抑えることが可能です。水耕栽培キットにはLED照明がセットになっているものも多く、設置するだけで簡単にLED栽培を実践することができるでしょう。

4-3.家庭でのLED栽培

水耕栽培キットを使わずに家庭でLED栽培を楽しむなら、まずは道具をそろえる必要があります。LED照明を始め、植物を育てるための容器と種や苗、液肥などが必要です。ただし、この場合は失敗が多いため注意してください。植物の成長に必要な量のLEDを照射しなければなりません。育てようとしている植物にはどのくらいのLED光源が必要なのか、しっかり把握してから栽培を始めるようにしましょう。

個人で水耕栽培をLEDを用いて行う場合、キットの利用がおすすめですね。
はい。必要なものが一式そろっているので、お得でもあります。

5.家庭での植物栽培に使うLEDの選び方

LED照明の選び方や注意点をまとめてみました。

5-1.普通のLED照明でもOK!

LED照明の選び方に悩む人も多いでしょう。必ずしも植物栽培用を使う必要はありません。一般的に市販されているものでも、ちょっとした植物であれば問題なく育つでしょう。もし自宅にLEDの電気スタンドがあるなら、試しに植物栽培を始めてみてください。きっと元気に育っていくはずですよ。

5-2.本格的に始めるためのおすすめは?

野菜の収穫など、本格的な栽培を目指している人には、植物栽培用のLED照明がおすすめです。赤色LEDが多く含まれているため、効率的においしい野菜を育てることができるでしょう。プランターや鉢など、容器の形状に合わせたデザインになっているため、使いやすいのも魅力です。

5-3.明るさとサイズについて

植物の育成には1,000~1,500クルスの光量が必要です。本格的に植物を栽培したいなら、光の量にも十分注意してください。もちろん、設置する距離や照明のサイズによっても植物に当たる光量は異なります。環境に合わせて照明を選ぶようにしましょう。

5-4.コツと注意点

植物が育つには十分な量の光源が必要です。そのため、できるだけ大きめの照明を用意するようにしてください。もし途中で「植物の元気がない」と思ったら、LED照明にプラスして日光を当ててあげるようにしましょう。窓際などに植物を移動して、太陽光も十分に当ててください。また、光源が植物にまんべんなく当たるように工夫することも大切です。

光の強さも重要なんですね。
はい。本格的に始めたいのならば、植物栽培用のLEDを利用しましょう。

6.LEDと植物栽培に関するよくある質問

「LED栽培について知りたい」という人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。

Q.LED照明はインテリアの邪魔になりませんか?
A.特に水耕栽培キットにセットされているLED照明は、デザインがおしゃれなものが多くなっています。インテリアの一部として溶け込みやすいデザインのものも多いため、部屋の雰囲気に合ったものを選ぶとよいでしょう。

Q.LED栽培の野菜はなぜ露地栽培のものより栄養価が高いと言われているのですか?
A.24時間必要な光源を照射されていることになるため、栄養価の高い野菜に育ちやすいのです。水耕栽培だと栄養の吸収を効率よく行うことができるため、さらに栄養のある野菜に育つでしょう。

Q.サボテンのような多肉植物も、LED照明を当てる必要がありますか?
A.多肉植物は日当たりと風とおしのよい環境を好みます。そのため、室内で育てる場合はできるだけ日光に当ててあげましょう。日光が当たらない場所に置く場合は、LED照明を当ててください。

Q.LED照明で栽培できる野菜にはどのようなものがありますか?
A.基本的にどんな植物でも育てることができます。ただし、LED照明と水耕栽培を組み合わせる場合は、レタスなどの葉物野菜が向いているでしょう。

Q.LEDで植物を栽培する場合、害虫はつきますか?
A.LEDには害虫を防除する作用があるため、観葉植物などを栽培しても虫が発生する可能性は少ないでしょう。その点も、LED栽培のメリットと言えます。

まとめ

LEDと植物育成の関係について詳しくご紹介しました。LED照明を当てて植物を育てるとどうなるのか、なぜ必要なのかがおわかりいただけたと思います。「人工的な光で育てた野菜は栄養価が低い」というイメージを持っている人は多いものです。しかし、そのようなことはありません。太陽光とLEDの光は植物の育成に対して同等の効果を与え、天候に左右されないLEDの方がよりおいしくて栄養価の高い野菜を育てることができるのです。ぜひこの記事を参考にして、LEDを使った植物栽培に成功してください。


オリジナル水耕栽培システムの提案も