ミニトマトは水耕栽培に向いている野菜の1つで、初心者でも気軽に育てることができます。水耕栽培を始めるためには、必要なものを準備しなければなりません。また、初心者向きの野菜でも、水耕栽培の基本とポイントをきちんと把握しておかなければ、失敗してしまうこともあります。本記事では、ミニトマトを水耕栽培で育てる方法とポイントを解説しましょう。
この記事を読むことで、ミニトマトの水耕栽培を始める方法とポイントが分かります。気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
1.ミニトマトは水耕栽培に最適
ミニトマトは水耕栽培に最適な野菜の1つです。基本的に、ミニトマトは土で栽培しますが、水耕栽培で育てる魅力とはどのようなところにあるのでしょうか。
1-1.初心者でも室内やベランダで栽培できる
土を使った栽培が苦手な家庭菜園の初心者でも、水耕栽培なら気軽に室内やベランダで育てることができます。水耕栽培は、養分が入った液体に植物の根っこを浸して育てる方法です。少し敷居が高く感じるかもしれませんが、家庭内でおいしいミニトマトが収穫できる方法として注目されています。天候に左右されることのない栽培方法なので、安定した収穫ができるのも大きな魅力の1つでしょう。
1-2.育て方の基本を知ることが大切!
ミニトマトの水耕栽培は難易度が高いイメージがあるかもしれませんが、基本をマスターしておけば上手に育てることができます。水耕栽培で失敗する人の多くは、きちんと道具をそろえていなかったり、手入れを怠ったりしているケースがほとんどです。正しい栽培方法でこまめに手入れを続けていけば、初心者でもミニトマトが収穫できるので安心してください。
1-3.おすすめの品種はアイコ・オレンジキャロル・イエローミミ
ミニトマトにはさまざまな品種がありますが、水耕栽培するときは、アイコ・オレンジキャロル・イエローミミから選んでください。特に、オレンジ種のオレンジキャロルと黄色いイエローミミがおすすめです。ほかの品種よりも育てやすい傾向があるため、失敗のリスクを減らすことができるでしょう。育てやすい品種から挑戦し、慣れてきたら自分好みの品種を育ててみてください。
1-4.栽培時期は4~8月上旬ごろが最適
ミニトマトの栽培時期は、4~8月上旬ごろがベストだといわれています。上手に栽培し収穫するためには、野菜の種類に合った時期に栽培し始めるのがポイントです。4~8月上旬まで種まきをすると、7~11月下旬あたりで収穫できます。苗から育てる場合は、4月下旬〜6月上旬ごろがおすすめです。種からよりも早く収穫でき、育てやすいので初心者は苗から始めましょう。
1-5.日当たり・風通しがいい場所で育てる
ミニトマトに限らず、植物を育てるためには光と酸素が必要です。直射日光を避けた日当たりと風通しがいい場所で栽培してください。ただし、夏場は日差しが強いので、半日陰になる場所に置いておきましょう。室内は湿度が上がりやすいため、適度に風が当たる場所へ置き、毎日水を換えてください。水耕栽培の場合は、水から栄養を補給するので常に清潔な状態にしておかなければなりません。
2.ミニトマトの水耕栽培を始めよう
それでは、ミニトマトの水耕栽培に必要なものと具体的な方法を解説していきます。
2-1.初心者は苗植えがおすすめ
水耕栽培は初めてですぐに収穫したいという方は、苗植えから始めてください。苗植えは発芽よりも手間と時間がかかりません。用意するものは、ペットボトルなどの容器・液体肥料・水・ミニトマトの苗・ハイドロボール・フェルト布・アルミホイルだけでOKです。必要なものがそろったら、以下の手順でキットを作りましょう。
- ペットボトルを上から1/3のところで水平にカットする
- 飲み口を逆さにして切り口で重ね合わせた後、切り口から下にアルミホイルを巻く
- 底部分に液体肥料を溶かした水を入れる
- 根が水に届かない場合は、幅1.5~2cm・長さ30cmほどの大きさにフェルト布をカットし、飲み口に通す
- フェルト布と根をつなぎ合わせ、苗をスポンジごと飲み口にハイドロボールで固定する
2-2.発芽から始める場合
ミニトマトの水耕栽培を発芽から始める場合に必要なものと方法を解説します。
2-2-1.用意するもの
発芽の場合は苗から始めるよりも時間と手間がかかりますが、特別なものを用意する必要はありません。ミニトマトの発芽に必要なものは以下のとおりです。
- 台所用のスポンジ
- カッター
- フタつきのプラスチック容器
- ミニトマトの種
2-2-2.発芽の方法
必要なものを用意したら、以下の手順で発芽の準備をしましょう。
- 台所用のスポンジを2~3cm程度角にカッターでカットする
- スポンジの中心に深さ1cmほどの切り込みを十字に入れる
- 切り込みに種を2~3粒入れ、上から見える程度の深さに埋める
- プラスチック容器に水を張り、スポンジを並べてからフタをする
発芽したらフタをはずし、容器をできるだけ日当たりのいい場所に移動させてください。そして、本葉が2~3枚に育ったら弱い芽は間引き、本葉が4~5枚に育ったら自作した容器に植え替えます。
2-2-3.発芽までは日の当たらない場所に置く
発芽のポイントは、発芽まで日の当たらない場所に置くことです。ミニトマトの種は強い光を嫌う傾向があるため、直射日光が当たる場所では発芽しなくなります。日陰に置いておくと、約2~3日で種から根が伸びてくるでしょう。ミニトマトは上へどんどん伸びるので、ベランダの物干し竿(ざお)など支柱を立てる必要があります。
3.ミニトマト水耕栽培のポイントと注意点
ここでは、ミニトマトを水耕栽培で上手に育てるためのポイントと注意点を解説します。
3-1.こまめに新しい水へ交換する
水耕栽培における最も大切なポイントといえば、水換えです。前述したように、ミニトマトを水耕栽培で育てる場合は根っこから栄養分を吸収します。水が汚く濁っていると、必要な養分が吸収できなくなり、実が成ったとしても小さくなってしまうのです。また、根腐れの原因になる可能性もあります。なるべく、毎日新しい水へ交換してください。容器も定期的に掃除しましょう。常に水が入っている容器はコケが生えやすいので、注意してくださいね。
3-2.支柱を立てる
苗の高さが15cm程度に伸びてきたら、成長スピードが一気に速くなるでしょう。長く伸びた根をそのままにしていると、ちょっとした風邪で根元あたりから折れてしまうことがあるので棒状のものを突き立てて支柱にしてください。ミニトマトでも、最終的に1m以上の木になります。できるだけ、収穫までに120~150cmほどの支柱を用意し立てておきましょう。
3-3.必要に応じて脇芽をつみ取る
ミニトマトが成長するにつれ、枝と枝の間から脇芽と呼ばれる新しい芽が出てくるようになります。成長している証拠ですが、そのまま放置すると、果実を実らせるエネルギーが枝の成長に使われてしまうので、脇芽はこまめにつみ取ってください。毎日様子を見て、時々つみ取ることがポイントです。
3-4.液肥を与えすぎない
水耕栽培に必要な液肥は、与えすぎないようにしてください。ハイポニカなどの液肥を500倍ほど薄めて使いますが、与えすぎてしまうと逆に腐る原因になってしまいます。また、液肥の規定量に合わせて薄めることも大切なポイントです。ミニトマトの茎に元気がない場合は、少し液肥を追加してあげるといいでしょう。
3-5.よくある失敗を紹介
水耕栽培でよくある失敗は以下のとおりです。
- スポンジが硬すぎて根が育たない
- 日照量の不足で育ちが悪い
- 水分の多すぎまたは少なさで根腐れが起きる
水耕栽培は土を使わないので根を固定するためにスポンジを使います。しかし、スポンジが硬すぎると根が思うように張らず、育たなくなってしまうので要注意です。また、日照量と水分の不足は育ちに悪い影響を与えます。水分の多すぎも根腐れが起きるきっかけになるので、適量の水を与えるようにしてください。水だけでなく、酸素不足が原因で根腐れを起こすケースもあります。酸素が十分に行きわたるように、酸素ポンプを活用するのも対策の1つです。
3-6.実つきがよくなる結実促進剤を使う
ミニトマトの実つきをよくしたい・大きくさせたいというときは、結実促進剤を使ってみてください。結実促進剤には、実をつきやすくするための成分が含まれています。特に、苗に花が咲いても実がつかずそのままの状態が続くのであれば、花が咲いたときにスプレーしましょう。ただし、誤った使い方やかけすぎはNGです。使う前に使用上の注意点を一読してくださいね。
3-7.道具・キットを購入しよう!
水耕栽培の容器を準備するのが面倒という方は、あらかじめ必要な道具がセットになっている専用キットの購入がおすすめです。「水耕栽培どっとネット」では、家庭菜園キットのエアロガーデンを発売しています。誰でも家庭菜園ができる水耕栽培システムが搭載されているので、手間をかけずに卓上で水耕栽培が楽しめるでしょう。ほかにも、水耕栽培に役立つ培地・空調システム・ライト、発芽促進剤・発芽キットも用意しているのでぜひチェックしてください。
4.ミニトマトの水耕栽培に関してよくある質問
ミニトマトの水耕栽培に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.ミニトマトの水耕栽培は冬でも栽培できるの?
A.水耕栽培なら冬でも栽培できますが、寒さ対策をきちんとしておかなければなりません。実が赤くなる前に寒さで枯れる恐れがあります。なるべく、日当たりがいい室内の窓辺に置いておきましょう。移動するタイミングは11月ごろがベストです。そして、最低気温10℃を切らないように注意してくださいね。ミニトマトの生育適温は昼間が25℃前後、夜間16~17℃が最適な気温となります。
Q.棒状以外のもので根を誘引する方法は?
A.ビニールひもを使う方法があります。主な手順は以下のとおりです。
- 草丈が20~30cm程度になったら、1~1.5cmくらいの長さのビニールひもを天上から垂らす
- ひもの先を根元にゆるく結び、茎にひもをぐるぐると巻きつける
- 天上などに先端を巻き、上から吊(つ)るす
- ひもの先まで株が成長したら、頂点の芽をつみ取る
きちんと誘引することで、ミニトマトの根がしっかりと固定できます。やり方が難しく分からない方は、専用キットを利用するといいでしょう。
Q.収穫のポイントは?
A.収穫の際は、茎にヘタを残したままにしてください。ヘタを残すことで病気にかかるリスクを減らすことができます。また、室内で育てる水耕栽培の場合は、花粉を運んでくれる虫がつきにくいので受粉できない可能性が高めです。そのため、花を指先で弾いたり、花のついた枝を何回か揺すったりして受粉させましょう。
Q.害虫・病害の対策方法は?
A.対策方法として有効なのは、こまめな水換え・十分な日照・適度な肥料の3点です。水耕栽培の場合は土で育てるよりも害虫・病害のリスクが低い傾向がありますが、水や肥料の与えすぎ・日照不足で病気にかかる可能性があります。失敗しないためにも、常に様子を観察しておきましょう。
Q.ミニトマト水耕栽培で悩んだときは?
A.水耕栽培に詳しい人へ相談してください。水耕栽培のさまざまなグッズを発売している「水耕栽培どっとネット」では、水耕栽培に関する相談を受けつけています。特に、専用キットや道具に関するお悩みに対応しているので、ぜひ1度ご相談ください。
まとめ
ミニトマトの水耕栽培は難しいイメージがあるかもしれませんが、気楽に楽しく育てることができます。ミニトマトは水耕栽培にぴったりな野菜なので、必要なものをそろえてからぜひチャレンジしてください。園芸店では、まだまだ水耕栽培の商品数が少なめですが、インターネットサイトではさまざまな種類の中から選ぶことができます。特に、専用キットは必要なものがそろっているので、初心者でも安心してミニトマトの栽培が始められるでしょう。水耕栽培のポイントをつかみ、家庭菜園を楽しみながらおいしいミニトマトを収穫してくださいね。