手作りのおいしい野菜が食べられる家庭菜園は、実益を兼ねた趣味として人気があります。子どもの食育をしたいという方や、定年後の生きがいにしたいという方もいるでしょう。今は、自治体が休耕田などを格安の貸し農園にしていることもあります。
そこで、今回は初めて家庭菜園に必要な土地の目安についてご説明しましょう。菜園というと広々とした農地を思い浮かべる方も多いと思います。しかし、面積が広すぎてもデメリットが出てくるのです。これから家庭菜園を始めたいという方は、ぜひこの記事を読んで参考にしてみてください。
1.野菜を育てるにはどのくらいの土地が必要?
野菜を育てるには、広い土地が必要と思っている方は多いでしょう。確かに、テレビや雑誌などで紹介される畑は面積が広いものがほとんどです。しかし、家庭で消費する程度の野菜を育てるだけならば、それほど広い畑は必要ありません。
今は、ベランダでプランターを使った家庭菜園をする方も多いです。プランターといえば、両手で抱えられる程度の大きさ。そこに苗を植えても、キュウリやナスなどが育ちます。しかし、野菜によっては広い面積が必要なものもあるのです。
たとえば、さつまいもやカボチャなど地面につるを伸ばしながら成長する野菜は、ある程度の広さが必要でしょう。また、だいこんやジャガイモなどの根菜を育てる場合は深さが必要なので、プランターや植木鉢では育てにくいです。
2.広すぎる畑のデメリットは?
どうせ家庭菜園を始めるなら広い方がよい、という方もいるでしょう。しかし、広すぎる畑にはデメリットもあるのです。この項では、その一例をご紹介します。
2-1.世話が行き届かない
野菜は、種や苗を植えれば勝手に育つものではありません。スーパーで販売されているような立派なものをつくりたければ、肥料をまいたり草を取ったりしなければだめです。畑が広ければ、それだけお世話にも手間がかかるでしょう。
また、都市部の場合は家庭菜園を郊外に借りるケースも多いです。畑が広ければ広いほど、週末だけの世話では追いつかないでしょう。さらに、畑に雑草がはびこると周囲の畑にも迷惑がかかります。
2-2.お金がかかる
家庭菜園に使う肥料などはただではありません。また、貸し農園の場合は広さで賃料が決まることが多いでしょう。さらに、畑は耕したりうねを作ったりしなくては野菜を育てられません。小さい菜園ならば、クワやスキを使って手作業で行えます。しかし、広い畑では耕作機械が必要です。レンタルできるところもありますが、購入すれば十万円以上はかかるでしょう。
2-3.農作物の始末に困る
野菜は、実のなる時期が決まっています。毎日必要な分だけ収穫できるような便利な野菜はありません。豊作の時期は、1日で100個以上の収穫があることもあるでしょう。
また、食べごろを過ぎた野菜はとてもまずくなります。ですから、収穫時期は野菜の保存方法を考えておかなくてはなりません。ジャガイモやだいこん、にんじんなど日持ちがする野菜ならよいのですが、トマトやナス、キュウリなどは食べきれないともったいないことになります。
3.狭すぎる農地もデメリットはある
では、家庭菜園は小さい方がよいのかといえば、そうでもありません。狭い場所にたくさんの野菜を育てると、病気や害虫で一気に全滅する可能性もあります。また、土の栄養分が足らずに立派な野菜に育たないこともあるでしょう。
4.初心者にちょうどいい家庭菜園の目安は?
では、初心者が始めやすい家庭菜園はどのくらいの広さなのでしょうか? この項では、素の目安や家庭菜園を成功させるコツをご紹介します。
4-1.最初は1坪~2坪程度から始める
初心者が管理しやすい畑の広さの目安は、1坪~2坪(3.3平米~6.6平米)くらいです。想像以上に狭い、と思う方もいるでしょう。しかし、この位の広さでも2~3種類の野菜は植えられます。
また、野菜には季節ごとに収穫できるものが変わるのです。ですから、1年中野菜を育てていれば、家族で食べる分くらいは十分にまかなえるでしょう。
4-2.慣れてきたら広くする
家庭菜園を2~3年行って慣れてきたら、もう少し農地を広げてもよいでしょう。追加して周りの土地を借りてもよいですし、庭を畑にするのなら土地を農地向けにしてください。ただし、前述したように畑を広げると耕作に機械が必要になったり肥料代がかかったりします。
また、水やりのための水道代もかかるでしょう。家庭菜園を作れば食費が浮くというイメージがありますが、よくばりすぎると光熱費や肥料代、苗代で赤字が出ます。
4-3.初心者はどんな野菜がおすすめ?
家庭菜園の初心者には、成長が早くお世話がそれほど必要のない野菜がおすすめです。たとえば、小松菜やミニトマトなどは成長が早く丈夫なので、育てやすいでしょう。また、レタスやオクラなども植えておけばよく育ちます。ジャガイモは日持ちがしますので、作りすぎても安心です。かぼちゃは生ごみとして捨てた苗から発芽するほど生命力が強い野菜ですから、1本植えるだけでもたくさんの収穫が期待できます。
逆に、キュウリは病気に弱く、縦につるを伸ばして成長する植物ですから支柱やネットが必要です。収穫時期は1日で20本ほど取れますが、10日ほどで枯れてしまうこともあります。ですから、初心者はちょっと難しい野菜でしょう。
果物も人気がありますが、お店で売っているような果物を作るためには、たくさんの肥料が必要です。さらに、収穫時期になると鳥や虫が一斉に果実によってくるでしょう。ひどい場合は、1日で実がすべて食べつくされてしまうこともあります。お世話に時間がかけられる人向きです。
4-4.無農薬栽培は可能なの?
家庭菜園を始める理由として、「無農薬野菜を食べたいから」という方もいるでしょう。確かに、家庭菜園程度の量の野菜ならば、無農薬で育てることも可能です。ただし、こまめに世話をして病気を防いでおかないと、あっという間に全滅するリスクもあります。
さらに、貸し農園の場合は周りの畑へ病気や害虫を広めてしまうこともあるでしょう。今は、扱いが簡単な農薬も販売されていますので、必要ならば使ってください。完全に無農薬野菜を作りたい場合は、こまめなお世話が大切です。
おわりに
今回は家庭菜園に必要な土地の広さについてご紹介しました。
まとめると
- 家庭菜園をするのに、広すぎる農地は必要ない。
- 家庭菜園の初心者ならば1坪~2坪程度の農地が目安。
- 慣れてきたら農地を広げよう。
- 育てやすい野菜を育てることが大切。
ということです。
植物を育てるということは、思っている以上に手間がかかります。しかし、手間をかけた分だけ植物は応えてくれるでしょう。
また、貸し農園を借りる場合はできるだけ通いやすい場所に借りてください。車で1時間もかかるような場所に借りてしまうと、お世話が大変です。さらに、放っておいても育つイメージがあるさつまいもは、土地があわないと育ちません。特定の野菜が育ちやすい土地や、逆に育ちにくい土地もあるということを覚えておきましょう。土壌改良をすることもできますが、時間がかかる場合も多いのです。庭を農地にする場合は土作りにも時間をかけましょう。