家庭菜園でのアスパラガスの育て方についてご説明します。
アスパラガスはトマトやナスなどの一年草と違い、クサキカズラ科の多年草です。
ひとたび植えてしまえば手入れもあまり必要なく7~8年は収穫し続けることができるでしょう。
家庭菜園初心者でも安心して育てることができます。
プランターや水耕栽培でも簡単に栽培できるため、ぜひチェックしてみてください。
時期や病気、害虫問題など、アスパラガスを育てる上で知っておくべきことをまとめてみたいと思います。
1.アスパラガスの栽培方法
アスパラガスは種をまいて育てることもできます。
しかし、苗にするまで手間がかかるため、家庭菜園では苗から始めるのがおすすめです。
1-1.土壌の準備
アスパラガスは根が深く生長するため、地植えが適しています。
夏場の生育期には高さも1.5mほどまで伸び、葉も1m弱の大きさになるでしょう。
そのため、ある程度広さのとれる場所を確保してください。
もちろん、畑でなくても庭の一角で栽培することも可能です。
アスパラガスは長い期間をかけて深く根を張る植物であるため、一年草の野菜より深く土を掘り起こす必要があります。
堆肥を混ぜる際に石灰もブレンドし、土壌改良を行う必要があるでしょう。
土壌改良が終わったら地面を元の高さに戻し、苗を植え付けてください。
アスパラガスの苗は秋ごろから販売されています。
よい株のものであれば、翌年の春から収穫が可能になるでしょう。
1-2.水やりの頻度と追肥のタイミング
苗を植え付けた後は、たっぷりと水やりを行ってください。
アスパラガスは遅霜に弱いため、有機マルチングなどを行って土の表面が乾かないようにしましょう。
遅霜の心配がなくなったらマルチングを取り除いてください。
夏の高温期は、最低でも1週間に1回は水やりを行うようにしましょう。
また、1年目の株を大きく育てるためには、しっかりと肥料を与えることが大切です。
1年目は元肥だけで育て、1回目の収穫後から、成長期と冬に追肥を施します。
1回目は春先の収穫が終わった後、2回目は8~9月の新芽が出る前に、それぞれ1株あたり10gの化学肥料を与えましょう。
3回目は2~3月に芽だしを助けるために、化学肥料を1株あたり5gほど与えます。
1-3.収穫
アスパラガスはほとんどの場合、2年目から収穫できるようになります。
4~6月ごろに幼苗が20cmほどの大きさになり、穂先が開く前の状態になれば収穫可能です。
ハサミやナイフを使って地際付近から切り取って収穫しましょう。
乾燥しやすいため、切り口にぬれた新聞紙を当て、ラップや保存袋でくるみ冷蔵庫で保存すると長持ちします。
ただし、収穫の際、すべての芽を摘み取ってしまうと株が弱る原因になるのです。
細い芽や6月以降に芽が出るものはそのまま伸ばして、株に栄養を与えるようにしましょう。
1-4.上手に育てるポイント
アスパラガスの生育適温は20~25度です。
30度以上になると生育が止まり、5度以下で休眠します。
また、アスパラガスは酸性土壌を嫌うため、用土を必ず中和しておくことを忘れないでください。
ほかにも、アスパラガスを上手に育てるためのポイントがいくつかあります。
- 株を大きく育てるために、植え付けの1年目は収穫を控える
- 土壌が乾燥すると極端に生育が悪くなるため、夏場の水切れに注意する
- 元肥と追肥のタイミングが重要
2.アスパラガスに多い病気
アスパラガスを育てる際に、注意したいのが病気への対策です。
アスパラガスに多い病気についてご紹介しましょう。
2-1.最も多いのが「茎枯病」
茎枯病はカビが原因で発生する病気の一種です。
初期症状は茎に水じみのような病斑ができること。
時間がたつにつれて一体化し、いずれ大きな病斑になります。
最後は株全体が枯死してしまうのです。
初期治療すれば比較的簡単に治すことができるため、病気の早期発見と早期治療を心がけましょう。
茎枯病の病原菌はアスパラガスの茎で越冬し、春に繁殖して胞子を飛散します。
被害を受けた株は適切に処理しておく必要があるでしょう。
発病した株を治療せずそのままにしておくと畑全体に病気が蔓延(まんえん)してしまいます。
ひどいときは畑全部の株が枯れてしまうこともあるでしょう。
2-2.茎枯病の原因と発生条件
茎枯病の病原菌は、ひとたび発生すると毎年発生を繰り返します。
発病した畑で同じ野菜を連作すると高い確率で病気が再発するでしょう。
茎枯病は、土壌水分が多いときや茎がぬれた状態が続くと発生しやすくなります。
特にアスパラガスは草丈が長く茎が弱いため、株が倒れると茎がぬれた状態になり、病気を発生しやすくなってしまうのです。
2-3.草枯病の対策
草枯病は、薬剤を使わずに治療するのは難しい病気です。
初期で症状が軽いときなら、発症部分の茎を切り取って焼却処分しましょう。
ほかの株が発病しないように、水はけのよい環境を整え、株元の風とおしをよくするなどの対策が必要です。
茎枯病が株全体に広がったときは、すべての株を抜き取るか薬剤治療をするしか方法はありません。
病気の発生を予防するために、普段から下記のことに注意しておきましょう。
- 高温多湿の土壌にならないように気を付ける
- 少量多数回の水やりを心がける
- プランターの場合は排水のよい用土を利用する
- 水やりは根元を中心に与える
- 茎が倒れないように支柱などで支える
- 肥料のやり過ぎや植える間隔に注意する
- 雨天時の収穫は行わない
- 収穫の際に利用するハサミやナイフは使用のたびに消毒する
3.アスパラガスの害虫対策
アスパラガスに影響を与えやすい害虫の種類やその対策についても知っておきましょう。
3-1.ジョウシホシクビナガハムシ
赤い背中に14個の黒い斑点があるのが特徴の害虫です。
体長は7mm前後でしょう。
見た目はテントウムシに似ており、アスパラガスに傷つけたり変色の原因になったりします。
収穫前の芽を食い荒らすこともあり、悪化するとただれたように曲がってしまうでしょう。
また、収穫後でも新成虫や幼虫が付いているとそこからも同様の被害が発生します。
翌春の被害を減らすために、越冬しないようにすることが重要です。
夏~秋にかけて駆除するようにしましょう。
3-2.ネギアザミウマ
体長1.2mmと小さく、淡い黄色か淡い褐色をした害虫です。
ネギ類によく発生する害虫として知られており、アスパラガスが被害を受けることも多くなっています。
茎の先端やまだ若い茎など、柔らかい部分を食べてしまうため、アスパラガスの表面に黄色い斑点がたくさん残ることになるでしょう。
予防するためには、アスパラガスの周りに生息する雑草を丁寧に取り除くことが必要です。
高温と感想がネギアザミウマの増殖に適しているため、薬剤を散布するほか、土が乾燥しないようにするのも有効な対策でしょう。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
家庭菜園初心者にとって、アスパラガスは比較的育てやすい野菜と言えると思います。
しかし、注意していなければ病気が発生したり害虫の被害を受けたりすることも多いでしょう。
正しい栽培方法と病害対策を知り、おいしいアスパラガスを上手に育ててくださいね。