いんげんは枝豆と同じように、未成熟の豆をさやごと食べる野菜です。栄養価も高く緑が鮮やかな野菜なので、料理のいろどりにも重宝されるでしょう。
今回は、いんげんの育て方をご紹介します。つるなしいんげんならば、ネットを張る手間もかかりません。
また、土を使わずに栽培する方法もあるのです。これから夏にかけて何か野菜を栽培したいという方や、子どもの食育に家庭菜園を行いたいという方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
1.いんげんとはどんな野菜?
いんげんは、南米が原産で17世紀に中国を経由して日本に入ってきた野菜です。ちなみに、いんげんはそれを持ちこんだお坊さんの名前を取って名付けられました。いんげんは大きく分けてつるありとつるなしがあり、さやごと未成熟の豆を食べます。熟した豆はインゲン豆や金時豆となり、豆料理として使われるのです。つるありいんげんを育てるには支柱を立ててネットを張る必要があります。
つるなしいんげんの場合は、20センチほどに株が育ち、つるを伸ばすことなく花が咲いて豆がなるのです。初心者の場合はつるなしいんげんの方が育てやすいでしょう。丈が低いのでプランターでも問題なく育ちます。
2.いんげんの育て方は?
では、いんげんはどのように育てればよいのでしょうか? この項では、種まきの時期や収穫までの育て方をご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
2-1.いんげんの植え付け時期は?
いんげんは、雨、高温、乾燥に弱いのです。ですから、4月の中旬~6月の中旬までが植え付け時期になります。通常の野菜は暖地の方が植え付けは早いですが、いんげんは寒冷地の方が植え付けは早いのです。
いんげんは、通常種(豆)の状態で販売されています。つるあり、つるなしは種の袋に書いてありますので、間違えないようにしてください。種は一晩水につけると発芽率がよくなります。
2-2.いんげんに適した土は?
いんげんは連作を嫌います。ですから、いんげん豆を植えた土は2~3年は別の野菜を植えてください。いんげんに適した土は、水はけと水持ちがよい土です。
また、いんげんは深く根を張るのでプランターに植える場合は、深型のものを用意してください。赤玉土と腐葉土の混合したものや、家庭菜園用の土で大丈夫です。畑に植える場合は、深く耕しましょう。植える前に有機肥料や化学肥料を混ぜておきます。
2-3.いんげんの植え付け
いんげんは20センチ間隔で畑やプランターの中に植えていきます。ただし、近くにカラスが多い場合は、土を掘って種が食べられてしまうことがあるのです。カラスは頭のよい鳥ですから、1度「ここに種が植わっている」と分かると、くりかえしほじくり返します。
その場合は、ポットに種を植え発芽してから植え替える方法を採りましょう発芽までなら室内に置いておいても大丈夫です。カラスの心配がない場合は、ひとつの穴の中に3~4粒ずつ入れていきましょう。
なお、つるありの場合は2粒ずつが適量です。あまり土をかけすぎないように注意して、発芽までは水をたっぷり与えましょう。ポットに種を植えた場合は、日当たりのよい場所に置いて同じように水を与えてください。
2-4.いんげんの手入れ
通常、いんげんは1週間~10日程度で発芽します。本葉が3~4枚でたら、よい苗を2本残して残りは間引きましょう。つるありいんげんの場合は、この時点で支柱を立ててネットをかけてください。支柱同士を合掌させるように合わせてそこにネットをかける「合掌造り」が一般的ですが、グリーンカーテンにする方法もあります。
ただし、ゴーヤほど葉が茂りませんので、グリーンカーテンの役割はあまり期待しない方がよいでしょう。でも、この方法ならば、マンションのベランダでもつるありいんげんが育てられます。
2-5.いんげんの追肥
いんげんに花のつぼみがついたら、追肥を行いましょう。粒状の肥料を10グラム程度根元にまいてあげてください。なお、マメ科の植物は肥料が多すぎると実のつけ方が悪くなります。ですから、最初は「少ないかな」と思う程度に追肥を行い、実がなるときにもう一度追肥を行うとよいでしょう。発育状態を見て、特に問題がないようでしたら肥料は足りているということです。
2-6.いんげんと雨の関係
いんげんを育てている間に、つゆが始まります。いんげんの花は雨に当たりすぎると受粉がうまくいかなくなるのです。ですから、長期天気予報を見て雨が続くようでしたらカバーなどをかけてあげましょう。プランターならばビニール製の米袋をひらき、支柱を立ててかぶせてあげるとよいですね。
いんげんをたくさん作ってしまったという場合は、つゆが始まる前に花が咲くように植え付け時期を工夫してください。なお、水が足りなくても花が落ちます。そのため、花に水がかからないように、根元にたっぷりと水をあげましょう。
2-7.収穫
花が咲き終わって10日もすると豆がなり、収穫の時期を迎えます。いんげんの実は収穫時期を逃すとあっという間に固くなってしまうでしょう。さやの長さが10センチを超えたら、病気を予防するためにはさみで一個一個収穫してください。
3.いんげんの病気と害虫
いんげんは、アブラムシ、ハダニ、ハモグリバエといった害虫がつきやすいです。いずれも対応薬剤がありますので、殺虫剤を使用してください。
また、アブラムシはウィルス性の病気の媒体にもなります。見つけたらすぐに駆除しましょう。いんげんの病気は炭疽病(たんそびょう)が有名ですが、これは通気性が悪いと発症しやすいです。
間引きをしっかりとおこない、根元にまで風が通りやすいようにしてください。なお、日照時間が短いと病気が発生しやすくなります。気をつけましょう。
4.いんげんを水耕栽培してみよう
いんげんは、土がなくても栽培できます。ハイドロボールやパーライトといった発泡煉石と、肥料を溶かした溶液を使いましょう。いんげんは、水をつけたキッチンペーパーの上に置き、10日ほどすると発芽します。このとき、豆が乾かないように豆の上にもぬらしたキッチンペーパーを置きましょう。ハイドロボールやパーライトは、植木鉢やお茶パック、ペットボトルに入れてもよいのです。
ただし、お茶パックは水がもれますので、水受けを必ず用意しましょう。一定の深さのある容器でしたら、根がしっかりと張れるでしょう。発芽したら、土に植えるようにハイドロボールやパーライトの中にいんげんを植えます。これで、ハイドロボールやパーライトが乾燥しないように溶液をやり続ければ、水耕栽培ができるでしょう。
室内の日当たりのよい場所に置いておけば、害虫や病気、雨を気にすることなくいんげんが育成できます。少量でも栽培できるので、子どもの自由研究にもお勧めです。
おわりに
今回は、いんげんの育て方についてご紹介しました。いんげんは生育も早く、初心者向きの野菜です。また、栽培できる期間が長いので、時期をずらしてまけば長いこと楽しめるでしょう。
なお、つるありいんげんの場合は収穫して枯れた後のつるの始末も必要です。ですから、まずはつるなしいんげんを栽培し、慣れてきたらつるありにチャレンジしてみましょう。なお、水耕栽培はつるなしいんげんの方がうまくいきやすいです。