栽培関連コラム
水耕栽培の種類と特徴
水耕栽培にはさまざまな栽培方法があるため、どの方法を選択するかで悩む方も多いと思います。そこで今回はその種類と特徴を簡単に紹介しようと思います。
水耕栽培の栽培方法は、培養液の供給方法や使用する培地によって分類されることがほとんどです。
毛管現象を利用し貯水槽から培養液を吸い上げる方法がパッシブシステム(受動式)といい、ポンプ等の機器を利用して培養液を根や培地に供給する方法がアクティブシステム(能動式)といいます。
ここからさらに細かく分類すると、主に下記の栽培方法に別けられます。
・ウォーターカルチャー
・エブ&フローシステム
・NFTシステム
・エアロポニックス
・アクアポニックス
今回は、これらの栽培方法に焦点を当てて説明したいと思います。
ウォーターカルチャー
ウォーターカルチャーは培養液そのものが培地になります。貯水槽の上部(蓋)に穴をあけネットポットをはめ込みます。ネットポットにはハイドロボールやグロウストーン、ロックウールなどを入れて苗を固定します。
苗から伸びた根は貯水槽の中の培養液に浸っている状態となります。ただし、培養液に浸っているだけだと酸素不足になり十分な栄養吸収ができなくなるので、エアーポンプにエアーストーンを取り付けて強制的に酸素供給を行いましょう。
どんな容器でも利用することが可能で、構造も単純なので低コストで簡単に栽培が始められます。
エブ&フローシステム
エブ&フローシステは栽培トレイの中の培養液を潮の満ち引きのように定期的にタンクから送り込みます。送り込まれた培養液が培地内の古い空気を押し出し排水と同時に新鮮な空気を供給します。
栽培トレイに送り込まれた培養液が一定水位まで貯まるとオーバーフローから排水され、栽培トレイより下に設置された養液タンクにもどる仕組みとなっています。
植物の大きさや培地の種類によって異なりますが、これを一定間隔で繰り返すことによって酸素不足を防ぎながら給水を行い、植物の生育を活発にさせます。
エブ&フローシステムはメンテナンスや管理が容易にことから、特に背丈が低い植物を大量に栽培する際には非常に適したシステムです。
NFTシステム
NFT(Deep Flow Technique=湛液型水耕)システムは、経験を積んだ本格的ガーデナー向きの栽培方法です。
苗や挿し木が十分に根を形成したらわずかに勾配をつけた苗床(=栽培トレイ等)に定植させ、別置きタンクからポンプ等を使い培養液を注水します(勾配をつけない場合もあります)。
苗床の高いほうから低いほうに培養液は流れていきます。培養液は基本的に24時間循環させ続けるため、根は必要な養分と酸素を吸い取ることができ、非常に速いペースでの生育が期待できます。
NFTシステムは常に培養液が循環していることが大事です。配管内の根詰まりや循環ポンプの空運転には十分注意しましょう。
エアロポニックス
エアロポニックスは培地を一切使わず高い生産能力を発揮する栽培方法です。噴霧式水耕とも呼ばれています。
根が垂らされている密閉されたチャンバー内では、定期的または常時、培養液が噴射されます。
養液は噴霧ノズルを通り、細かい霧となり噴射されるため、チャンバー内の湿度は常に100%近く保たれ、根は十分な空気と養分を吸収することができます。
植物を支えるための培地(グロウストーン、ロックウール、ウレタンスポンジ等)を使用しますが、水分を蓄えるための培地ではありませんので、ポンプの故障や噴霧ノズルの詰まりなどで溶液の供給が止まると根はすぐに乾燥してしまい植物へ大きなダメージを与えてしまいますので、メンテナンスを怠らないことが重要となります。
下記を参考に自分に合ったシステムを探してみてください!
水耕システム | ウォーターカルチャー | エブ&フロー | NFTシステム | エアロポニックス |
難易度 | 低 | 低 | 高 | 高 |
メンテナンス | 15分/週 | 15~60分/週 | 15分/週 | 15分/週 |
設置 | 15分/週 | 15~120分 | 30~120分 | 30~120分 |
用途 | 両方に対応 | 生育の早い植物 | 生育の早い植物 | 生育の早い植物 |
必要面積 | 小 | 小~中 | 中~大 | 小~大 |